題目
終助詞、コミュニケーションとキャラクター
 
金水敏(放送大学大阪学習センター所長)
 
要旨
 本講演では、金水 (2021)他で示したフィクションの登場人物のモデルが、フィクション受容のプロセスにおいてどのように機能するかという点について、「微視的コミュニケーション」「中間的コミュニケーション」「巨視的コミュニケーション」のように階層化されたコミュニケーションのモデルおよび共感の機構と組み合わせることで説明する。さらにこのモデルを踏まえつつ、終助詞の使用が極端に少ない“無口系キャラ”(西田 印刷中)(例:綾波レイ[新世紀エヴァンゲリオン]、ふかえり[1Q84]等)のキャラクターとコミュニケーション上の特徴について分析を示す。
(参照文献)
金水 敏 (2021d) 「第一章 《キャラクター》と《人格》について」荒木浩・前川志織・木場貴俊(編)『〈キャラクター〉の大衆文化 伝承・芸能・世界』pp. 31-54, KADOKAWA.
西田隆政 (印刷中)「キャラクターの「属性表現」―ツンデレ・ボクっ子・無口系キャラ」金水敏(編)『役割語とキャラクター(仮題)』研究社.