題目
日本語学習者の応答表現の運用
 
野田尚史(日本大学文理学部・教授)
 
要旨
 「うん」や「そうですね」のような応答表現は、自分と聞き手の関係を考えながら相手の発話内容に対する自分の考えを述べるものである。文の中での位置は文頭であり、文末表現とは逆であるが、文末表現と類似した機能を持っている。
 この講演では、日本語を母語としない日本語学習者の応答表現の運用が日本語母語話者とは違う事例を取り上げ、そうした事例をタイプ分けした上で、それぞれのタイプでは何が原因で日本語学習者の応答表現の運用が日本語母語話者と違っているのかを分析する。
 日本語学習者の応答表現の分析は、自閉スペクトラム症(ASD)における応答表現の運用を分析する際に参考になるものと考えられる。