題目
高年層日本語母語話者の文末表現と自閉スペクトラム
 
木山幸子(東北大学文学研究科・准教授)
 
要旨
加齢は、人間の言語処理をどのように変え、それが対話相手との関係をどのように変えるだろうか。日本語のコミュニケーションにおいて、対人距離を調節するために大きな役割を持つ形式は、終助詞や敬語といった文末表現であると考えられる。
本報告では、高齢層の日本語を母語とする男女が他者から話しかけられたとき、敬語「ください」と終助詞「ね」の使用に応じて快・不快感の評定や脳反応が変わることを示す。高年層における敬語と終助詞の有無に応じた対人認知に、性差と自閉スペクトラム傾向の影響が認められている。