題目
ASDの問題をカートグラフィーで捉える
 
遠藤喜雄(神田外語大学言語科学研究科・教授)
 
要旨
本発表では、自閉症スペクトラム(以下ASD)の言葉の問題を取り上げます。特に、ASDの言葉の問題を捉えるには、カートグラフィーという文法モデルが有効である点を見ます。具体的には、ASDの当事者の発言も含めながら以下の点を論じます。
(1) ASDの人は言葉のスタイルの切り替えが得意ではない。(ASDの当事者のエピソード)
(2) 文末表現と談話に見るASDの人の言葉の問題(です・ます体、ありがとうありがとうございます, etc.)
(3) 文末表現による遠隔化と近接化に見るASDの人の言葉の問題(な、ね、よ、の)
(4) 口調の強さを切り替えるメカニズムから見たASDの人の言葉の問題(絵文字、役割語を含む)