題目
ASD者の感覚の特徴とコミュニケーション
 
和田真(国立障害者リハビリテーションセンター発達障害研究室長)
 
要旨
自閉スペクトラム症(ASD)では、感覚過敏や鈍麻など感覚の問題が知られており、感覚刺激に対する情報処理が定型発達者と異なると考えられる。具体的には、1)必要のない感覚刺激を無視するのが難しい、2)過去の経験による影響を受けにくい、3)感覚刺激同士や空間との結びつけの問題があるといった特徴が知られており、「入ってきた感覚情報が、そのまま意識に上りがちである」といえる。これら感覚の違いが、定型発達者との間のコミュニケーションの問題につながる可能性がある。そこで本発表では、ASD者の感覚の特徴について研究を交えて紹介し、コミュニケーションの問題との関連を論じる。